相続人でなくとも遺産を要求できる?特別寄与料とは

民法(相続法)の改正により、2019年(平成31年)7月1日から特別寄与料を請求できるようになりました。

相続人でなくとも、被相続人の生前に特別の寄与をした人(例えば介護をした長男の妻)に、それに見合う金銭の請求を認めるものです。(あくまで相続人に対する金銭の請求権であり、遺産を要求できるわけではありません。)

Q&A

Q1.アカの他人でも請求できますか?

A1.できません。相続人ではないけども親族(※)である必要があります
※6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族

ただし、相続放棄により相続人ではなくなった者は、親族であっても請求することはできません。

Q2.どのような寄与であれば請求できますか?

A2.以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供したことにより、
  • 被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと

Q3.「無償」が要件とのことですが、生活費やごくわずかな金銭を受け取っていた場合であっても認められないのですか?

A3.場合によっては認められることもあり得ます。要はケースバイケースです。

Q4.特別寄与料の額はどのように算定するのですか?

A4.法律で具体的に決まっているわけではありません。諸般の事情を考慮して相続人と協議することとなります。

なお、特別寄与者は遺産分割協議に参加する権利はありません。あくまで相続人に対して金銭の支払いを請求する権利を有するだけです。

Q5.特別寄与料の額について協議がまとまらない場合はどうすればよいですか?

A5.家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。

Q6.家庭裁判所への請求に期限はありますか?

A6.以下のいずれかの期間を経過すると請求できなくなるので注意が必要です

  • 相続の開始及び相続人を知った時から6カ月
  • 相続開始の時から1年

Q7.どこの家庭裁判所に請求するのですか?

A7.請求の相手である相続人(複数いる場合はそのうちの1人)の住所地を管轄する裁判所です。相続人との合意により任意の家庭裁判所を定めることもできます。

なお、すでに遺産分割調停が進行中である場合、管轄が異なることもあり得ます。この場合であっても、まとめて話し合った方がいいと判断されれば同一の家庭裁判所で処理されることもあります。

Q8.家庭裁判所に請求する場合、相続人全員を相手にする必要がありますか?

A8.いいえ、特定の相続人に対して行うことも可能です。この場合、もちろん請求できる金額は全額ではなく相手の相続分に限られます。

Q9.特別寄与料を受け取った場合、課税されますか?

A9.相続税の課税対象となります。支払額が確定したことを知った日から10カ月以内に申告する必要があります。

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