権利義務取締役による株式会社の解散

ずっと放置していた株式会社を解散したいときに、取締役の任期がすでに切れている場合があります。任期が切れていても後任が選任されていない場合は引き続き取締役としての権利義務を負うこととなり、このような人を権利義務取締役といいます。以下、権利義務取締役により解散手続きを行った事例をご紹介します。(権利義務取締役(1人)がそのまま清算人(代表清算人)になったケース)

権利義務取締役による株式会社の解散

1.登記申請書(解散)

商号(フリガナ)  エービーシー
商号 株式会社ABC
本店 ○○県○○市○○
登記の事由 解散
令和〇年〇月〇日清算人及び代表清算人の選任
登記すべき事項 別紙のとおり
登録免許税額 金39,000円
添付書類
 定款(※1) 1通
 株主総会議事録(※2) 1通
 株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) 1通
 清算人の就任承諾書(※3) 1通
 委任状 1通

上記のとおり登記を申請する。
令和〇年〇月〇日
 申請人 ○○県○○市○○ 株式会社ABC
 ○○県○○市○○ 代表清算人 山田太郎
 上記代理人 神奈川県藤沢市辻堂元町一丁目5番20号 司法書士 吉村健
 連絡先の電話番号 0466-47-8455
○○法務局○○支局 御中

別紙(登記すべき事項)
「解散」
令和〇年〇月〇日株主総会の決議により解散
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「氏名」山田太郎
「役員に関する事項」
「資格」代表清算人
「住所」○○県○○市○○
「氏名」山田太郎

※1 「上記は、当会社の定款に相違ありません。令和〇年〇月〇日 株式会社ABC 代表清算人山田太郎」と奥書きする。代表取締役名義ではないので注意。押印は不要。
※2 議案は「解散」と「清算人選任」の2つ。押印は不要。
※3 押印は不要。株主総会議事録の記載を援用するならば添付不要。
※4 解散登記申請と同時に代表清算人の印鑑届(代表清算人個人の印鑑証明書付き)も必要。

取締役の任期満了退任の登記は必要か?

上記登記申請時に、「解散」・「清算人・代表清算人の選任」の他、取締役の退任登記も必要との見解がありますが、今回は不要でした。管轄法務局によっては必要と判断されることもあるかもしれません。その場合は登録免許税が変わってくる(退任登記分が加算される)ので要注意です。

2.登記申請書(清算結了)

商号(フリガナ)  エービーシー
商号 株式会社ABC
本店 ○○県○○市○○
登記の事由 清算結了
登記すべき事項 別紙のとおり
登録免許税額 金2,000円
添付書類
 株主総会議事録(※1) 1通
 株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) 1通
 委任状 1通

上記のとおり登記を申請する。
令和〇年〇月〇日
 申請人 ○○県○○市○○ 株式会社ABC
 ○○県○○市○○ 代表清算人 山田太郎
 上上記代理人 神奈川県藤沢市辻堂元町一丁目5番20号 司法書士 吉村健
 連絡先の電話番号 0466-47-8455
○○法務局○○支局 御中

別紙(登記すべき事項)
「登記記録に関する事項」
令和〇年〇月〇日清算結了

※1 会社法施行規則第150条の内容が記載された決算報告書を添付する。押印・契印は不要。

3.過料

解散の登記申請により、取締役の選任懈怠(任期が切れているのに再任や後任選任の手続きをしなかったこと)を法務局が知ることとなるため、過料に処される可能性があります。会社法上は「百万円以下の過料」となっていますが、実際は数万円~10数万円であることが多いようです。

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