みなし解散を避けるための役員変更登記

株式会社の役員は任期を迎えるごとにたとえ同じ人物が続投するとしても登記をしなければなりません。株式を公開していない会社の場合、任期を最長で10年にすることができますが、少なくとも10年に1回は役員変更登記が必要ということになります。これを忘れて放置している会社が数多くあります。

登記をせずに放置して12年以上経過すると、法務局から「解散したものとみなしますよ」という通知が届きます。この通知を無視すると解散の登記を入れられてしまうため、事業を継続したいのであれば急いで役員変更登記をする必要があります。

以下、1人会社を例に記載します。

みなし解散を避けるための役員変更登記

1.登記申請書

商号 株式会社●●
本店 神奈川県●●●●
登記の事由 取締役及び代表取締役の変更
登記すべき事項 別紙のとおり
登録免許税額 金10,000 円
添付書類
 定款 1通
 株主総会議事録 1通
 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) 1通
 就任承諾書
 「株主総会議事録の記載を援用する」
 委任状 1通
上記のとおり登記を申請する。
令和●年●月●日
 申請人 神奈川県●●●● 株式会社●●
 神奈川県●●●● 代表取締役●●
 上記代理人 神奈川県藤沢市辻堂元町一丁目5番20号
 司法書士 吉村 健
 連絡先の電話番号 0466-47-8455
●●法務局●●支局 御中

別紙(登記すべき事項)
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」●●
「原因年月日」平成●年●月●日退任(※1)
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」神奈川県●●●●
「氏名」●●
「原因年月日」平成●年●月●日退任(※1)
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」●●
「原因年月日」令和●年●月●日就任(※2)
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」神奈川県●●●●
「氏名」●●
「原因年月日」令和●年●月●日就任(※2)

※1 取締役の任期が切れた日です。(下記「2.定款」参照。)
※2 株主総会で改めて取締役に選任された日です。(取締役が1人の場合はその者が代表取締役にもなります。)

2.定款

「役員の任期がいつ切れたのか」を証明するために添付します。定款に記載されている情報(取締役の任期、事業年度、定時株主総会の招集時期)から判断できます。例えば以下のような会社の場合、平成30年6月30日に任期が満了しているということになります。(任期が切れる事業年度の末日の翌日から3ヶ月以内に定時株主総会を開催しなければならないのに開催していないので、3ヶ月経った日が任期満了日となります。)

  • 取締役の任期は選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで
  • 事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日まで
  • 定時株主総会は毎事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に招集
  • 平成20年4月20日の会社設立以来役員変更登記を一度も行っていない

なお、定款は写しでよく、末尾に以下のような奥書きをします。

この定款の写しは原本と相違ないことを証明する。
令和●年●月●日
神奈川県●●●●
株式会社●●
代表取締役●●(押印不要)

3.権利義務取締役

任期が切れている取締役が登記申請手続きをできるのか?という疑問を持つかもしれませんが、できます。後任が選任されていない間は引き続き取締役としての権利義務を有するからです。

ただし、登記申請書に記載する退任日はあくまで任期切れの日(後任が選任された日ではない)なので注意してください。

4.過料

法務局からの通知書にも記載されていることですが、登記せず放置していたペナルティとして過料に処される可能性があります。会社法上は「百万円以下の過料」となっていますが、実際は数万円~10数万円であることが多いようです。

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