民法改正により、令和5年4月1日から隣地の使用についての規定が変わりました。
Q&A
Q1.隣地に入ってもよいのはどんなときですか?
A1.以下の目的のため必要な範囲内で隣地を使用することができます。
- 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
- 境界標の調査又は境界に関する測量
- 越境した枝の切取り
Q2.上記(Q1)の目的のためならば勝手に隣地に入ってもいいのですか?
A2.勝手に入るのはダメです。
あらかじめ、目的・日時・場所・方法を隣地の所有者(賃借人等の使用者がいる場合はその者にも)に通知する必要があります。なお、使用の日時・場所・方法は、損害が最も少ないものを選ばなければなりません。
Q3.「あらかじめ」とは具体的にどのくらい前の通知であればよいのですか?
A3.通常は2週間程度です。
隣地使用の目的・日時・場所・方法に鑑み、通知の相手方が準備をするに足りる合理的な期間を置く必要があります。
Q4.隣地の所有者が不明な場合はどうすればよいですか?
A4.現地や不動産登記簿・住民票等の公的記録を調査しても所在が判明しない等、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りるとされています。
隣地所有者が不明な場合はその所在が判明した後に遅滞なく通知すればよく、公示による意思表示(裁判所の掲示場への掲示や官報への掲載)は不要です。
Q5.調査しても隣地所有者の所在が判明しなければ、勝手に入ってもいいのですか?
A5.隣地を使用できる権利がある場合も、一般的に自力執行は禁止(勝手に入るのはダメで、裁判手続きが必要)とした上で、「事案ごとの判断ではあるが、例えば、隣地が空き地となっていて実際に使用している者がおらず、隣地の使用を妨害しようとする者もいないケースでは、土地の所有者は裁判を経なくとも適法に隣地を使用できると考えられる。」とされています。
何とも曖昧でよく分かりませんが、要はケースバイケースということです。隣地所有者が行方不明であればいかなる場合であっても勝手に入っていいというわけではないので注意が必要です。
Q6.通知を拒否された場合はどうすればいいですか?
A6.妨害行為の差止めの判決を得る等、裁判手続きを行う必要があります。
Q7.通知を無視された場合は勝手に入ってもいいのですか?
A7.ダメです。無回答の場合は同意しなかったものと推認されます。
この場合は、通知を拒否された場合(Q6参照)と同様、裁判手続きが必要となります。
Q8.隣地の使用にあたり、使用料を払う必要はありますか?
A8.使用料を払う必要はありませんが、隣地の所有者(または使用者)が損害を受けたときは、その償金を請求することができるとされています。
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