民法では、後見・保佐・補助を開始できる条件として、以下のように定めています。
【後見】精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
【保佐】精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者
【補助】精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者
いずれも「精神上の障害」があることが前提となっています。精神に問題があるわけじゃないんだけど体が不自由な人とか、あるいは性格がだらしなくて自分の財産管理をしっかりできない人などは想定されていません。後見・保佐・補助はいずれも家庭裁判所に申し立てを行いますが、その際に医師の診断書が必要です。何らかの精神上の障害があると診断されなければ、これらの制度を利用することはできません。
任意後見契約であれば家庭裁判所を通さず当事者間で直接契約を結ぶことができますが、将来精神上の障害が生じた時に後見開始となるので、そうなる前から財産管理を他人に任せたいという人は財産管理委任契約を結ぶという選択肢があります。
財産管理を任せられる親族がいない場合は司法書士等の専門職と契約することもできます。ただし、専門職と契約する場合は定期的に報酬が発生します。(後見・保佐・補助でも報酬は発生しますが、親族が後見人等になっている場合は敢えて請求しないこともできます。)