死後事務委任契約とは

Q&A

Q1.死後事務委任契約とは何ですか?

A1.生きているうちに、自分が死んだ後の事務を誰かに依頼しておく契約です

通常の委任契約は当事者(委任者・受任者のどちらか)が死亡すると終了しますが、死後事務委任契約は特約により委任者が死亡しても終了しないことにできます。

Q2.遺言とは何が違いますか?

A2.遺言に書けることは法律で決まっています(法定遺言事項といいます。例えば「遺産の分け方」等)。それ以外のこと(例えば「葬儀に関すること」等)を書いても構いませんが、法的拘束力はありません。

法定遺言事項は遺言を、それ以外のことは死後事務委任契約を活用します

※以下の記事もご参照ください。
・『遺言に書けることは法律で決められている? – 法定遺言事項
・『遺言と死後事務委任契約の使い分け

Q3.契約相手は自由に選べますか?

A3.自由に選べます。

親族と契約することもできますし、専門職(司法書士や弁護士)と契約することもできます。

Q4.どのようなことを委任できますか?

A4.例えば、以下のようなことを委任できます。

  • 葬儀・火葬・納骨・埋葬・永代供養
  • 親族等関係者への連絡
  • 住居の明渡し
  • 医療費・施設利用料の精算
  • 電気・ガス・水道・携帯電話・インターネット等の解約
  • ペットの処遇
  • SNSアカウントの閉鎖

Q5.契約書は公正証書にする必要がありますか?

A5.公正証書にしなければならないという決まりはありません。

ただし、死後事務委任契約は遺言のように広く世の中に認知されているものではないので、きちんと公正証書にしておいたほうが諸々の死後事務がスムーズに進む可能性が高くなります

各企業が独自のルールを定めている(もしくはきちんとルールを定めていない)ので、公正証書にしていてもダメ(相続人以外の手続きは受け付けない)という所もあります。その点で死後事務委任契約は万能とは言えず限界はあります。

葬儀社や遺品整理業者との契約はなるべく生前のうちに本人が締結しておき、死後事務受任者は本人の死後にその契約に則り事務を行うだけ、という状態にしておくとより確実です。

なお、第三者(相続人でも親族でもない)に死後事務を委任する場合は、専門職(司法書士や弁護士等の士業)であれば手続きに応じてくれる可能性が高くなるという現実もあります。

Q6.死後に相続人から解約されるおそれはありますか?

A6.委任者が死亡すると、委任者の地位は相続人に引き継がれます。したがって、契約を解除する権限も引き継がれることになるのですが、せっかく結んだ死後事務委任契約を相続人が自由に解約できるとなると、故人の想いが実現されないことになってしまいます。

そこで、死後事務委任契約では相続人による解除を制限する条項を定めることが通常です。もっとも、受任者の契約違反があったとき等は相続人からでも解約できるようにしておきます。

Q7.受任者が先に死亡したらどうなりますか?

A7.死後事務委任契約は終了してしまいます。この場合、新たな依頼先を見つけて改めて契約を結ぶ必要があります。

このような事態に備えて、あらかじめ複数の受任者と契約しておくこともできます。

なお、死亡の他、受任者が破産したり後見開始の審判を受けたときも死後事務委任契約は終了します。

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