- Q&A
- Q1.死後事務とは何ですか?
- Q2.成年後見人は死後事務を行うことはできますか?
- Q3.親族が死後事務を行わない場合はどうすればよいですか?
- Q4.「相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為」とはどのようなことですか?
- Q5.「相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済」とはどのようなことですか?
- Q6.「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」とはどのようなことですか?
- Q7.「その他相続財産の保存に必要な行為」とはどのようなことですか?
- Q8.民法873条の2に規定された死後事務はどのような場合に行うことができますか?
- Q9.民法873条の2の規定以外の死後事務は行えなくなったのですか?
- Q10.保佐人・補助人も民法873条の2に規定された死後事務を行えますか?
Q&A
Q1.死後事務とは何ですか?
A1.本人の死亡後に行う事務であり、以下のように様々なものがあります。
- 葬儀・火葬・納骨・埋葬・永代供養
- 親族等関係者への連絡
- 住居の明渡し
- 医療費・施設利用料の精算
- 電気・ガス・水道・携帯電話・インターネット等の解約
- ペットの処遇
- SNSアカウントの閉鎖
Q2.成年後見人は死後事務を行うことはできますか?
A2.本人の死亡と同時に後見は終了します。
従って、成年後見人は葬儀などの死後事務を行うことは原則としてできません。
なお、親族が成年後見人であった場合は、後見が終了しても親族の立場で死後事務を行うことはもちろん可能です。
Q3.親族が死後事務を行わない場合はどうすればよいですか?
A3.現実には、親族がいなかったり非協力的であったりして、成年後見人が死後事務を行わなければならないケースは多々あります。
従前から民法654条(応急処分)や697条(事務管理)を根拠に、必要最小限の死後事務を成年後見人が行っていました。
平成28年10月13日から民法873条の2が新設され、成年後見人に一定の死後事務を行う権限が認められました。
Q4.「相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為」とはどのようなことですか?
A4.具体例として以下のようなものがあります。
- 建物に雨漏りがある場合の修繕行為
- 債権の時効消滅が間近に迫っている場合に行う裁判上の請求(これにより時効の完成が猶予される)
Q5.「相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済」とはどのようなことですか?
A5.具体例として以下のようなものがあります。
- 医療費,入院費の支払い
- 公共料金等の支払い
- 居室の賃貸料の支払い
Q6.「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」とはどのようなことですか?
A6.遺体の引取りや火葬・埋葬のための契約の締結を意味します。
納骨に関する契約も含まれますが、葬儀に関する契約は含まれません。
Q7.「その他相続財産の保存に必要な行為」とはどのようなことですか?
A7.具体例として以下のようなものがあります。
- 成年後見人が本人から預かっていた物を保管するための寄託契約の締結(トランクルームの利用契約など)
- 電気・ガス・水道等供給契約の解約
- 債務を弁済するための預貯金(本人名義口座)の払戻し
Q8.民法873条の2に規定された死後事務はどのような場合に行うことができますか?
A8.条文に明記されている通り、以下の要件を満たしている必要があります。
- 成年後見人がその事務を行う必要があること
- 相続人が相続財産を管理することができる状態に至っていないこと
- 成年後見人が当該事務を行うことにつき、相続人の意思に反することが明らかな場合でないこと
また、「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結(Q6参照)」「その他相続財産の保存に必要な行為(Q7参照)」を行う場合には、家庭裁判所の許可も必要となります。
Q9.民法873条の2の規定以外の死後事務は行えなくなったのですか?
A9.従前からの民法654条(応急処分)や697条(事務管理)を根拠に行われてきた死後事務が否定されたわけではありません。
引き続き、これらを根拠として死後事務を行うことは可能です。
なお、民法873条の2は「することができる」と成年後見人の権利を規定しているのに対し、民法654条は「しなければならない」と義務を規定しています。
Q10.保佐人・補助人も民法873条の2に規定された死後事務を行えますか?
A10.民法873条の2は成年後見のみを対象としており、保佐・補助・任意後見・未成年後見には適用されません。
なお、民法654条(応急処分)や697条(事務管理)を根拠に死後事務を行うことは可能です。
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