戸籍は作り直されることがあります。例えば、法律の改正により新しい様式に書き換えられる(「改製」といいます)ことがあります。また、婚姻することによって親の籍から抜けて新しい戸籍が作られます。住所を移転する際に本籍地の移転手続き(「転籍」といいます)もする方がいらっしゃいますが、この場合も移転先にて新しい戸籍が作られます。
新しい戸籍が作られる際、婚姻等で既に籍を抜けている子は転記されません。つまり、子が何人いるか証明するためには最新の戸籍謄本1通を取得しただけでは足りず、出生時に遡るまで古い戸籍(「除籍」や「改製原戸籍」といいます)を全て取得する必要があります。これがなかなか大変な時があります。
戸籍は本籍地を管轄する役所にて取得しますが、管轄を跨って転籍していると別の役所に古い戸籍を請求しなければなりません。しかも、どこから転籍してきたかは新しい戸籍を見るまでわかりません。1つずつ順番に遡っていく必要があるため、転籍を繰り返していると収集に時間がかかることがあります。
子が先に亡くなっている場合、孫が何人いるか(またはいないのか)証明するために「亡くなった子」の戸籍も出生から死亡まで全て取得する必要があります。
子がおらず、両親が亡くなっていて兄弟姉妹が相続人になる場合はもっと大変です。兄弟姉妹が何人いるかを証明するためには、被相続人の「父親」と「母親」の戸籍も出生から死亡まで全て取得する必要があります。また、兄弟姉妹が先に亡くなっていている場合、甥・姪が何人いるか(またはいないのか)証明するために「亡くなった兄弟姉妹」の戸籍も出生から死亡まで全て取得する必要があります。
遺言がある場合は、遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本と受遺者(財産をもらう人)の戸籍謄本だけで登記手続きが可能です。ただし、受遺者が第1順位の相続人(子)でない場合は遺言があっても先順位の相続人がいないことを証明する戸籍一式が必要となります。また、相続税の算出にあたっては、相続人の数を明らかにする必要があるため、遺言があったとしても出生から死亡まで全ての戸籍を取得しなければなりません。(相続人の数により基礎控除額が決まるため)
2024年3月1日より、配偶者や直系血族の戸籍謄本等は最寄りの役所で全て取得することができるようになりました。ただし、代理人による手続きができないため、相続人様ご本人に役所に行って手続きをしていただく必要があります。場所にもよりますが発行までに数週間かかることもあります。なお、傍系血族(兄弟姉妹・甥姪)の戸籍謄本等は取得することができないため、従来通り本籍地の役所にて手続きをする必要があります。