海外在住の相続人が一時帰国している場合の遺産分割
1.事案
- 相続人の1人(長男)がシンガポール在住
- 不動産は妻が相続(長男は相続しない)
長男が一時帰国しており、その間に遺産分割協議と不動産の登記手続きをしたいとのご依頼でした。
2.遺産分割協議書への署名証明
遺産分割協議書には相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添付する必要がありますが、日本国内に住所登録がない方は印鑑登録ができず印鑑証明書の取得ができません。そこで、通常は印鑑証明書の替わりに署名証明書を現地の在外公館で取得していただくのですが、今回は一時帰国されていたので日本の公証役場で遺産分割協議書への署名を認証してもらうことにしました。
※日本国内に居住している相続人の遺産分割協議書は同じ内容のものを別に作成・捺印し、印鑑証明書を添付してもらいました。
とてもシンプルな認証文ですが、相続登記の手続きは問題なく行うことができました。
認証にあたってはパスポートの他に住所の記載のある公的書類が要求されましたが、シンガポールの運転免許証や就労ビザには住所の記載がなかったため、公証役場と相談した結果、住所の記載のある携帯電話料金の請求書と戸籍謄本を追加で添付することでOKということになりました。
3.海外在住の相続人が不動産を相続する場合は
本件は海外在住の相続人が不動産を相続しないケースでしたが、もし相続するのであれば署名証明書だけでなく住所証明書も必要となります。当然ながら住民票は取得できないので、通常は現地の在外公館で在留証明書を取得します。在留証明書は日本国内では取得できないので注意が必要です。
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