遺言書を法務局で保管してもらえます

Q&A

Q1.どこの法務局で保管してもらえますか?

A1.以下のいずれかの場所(法務局)です。

  • 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

法務省のWebサイトから調べることができます。

Q2.遺言書はワープロで書いてもいいですか?

A2.遺言者本人の手書きである必要があります。例外的に財産目録はワープロでもOKです。その他、サイズ(A4)や余白、ページ番号付与等、細かい様式のルールがあるので詳しくは法務省のWebサイトをご参照ください。

Q3.公正証書遺言は保管してもらえますか?

A3.いいえ。保管してもらえるのは自筆証書遺言のみです。公正証書遺言は公証役場で保管してくれるので対象外です。

Q4.法務局で遺言の内容をチェックしてくれるのですか?

A4.いいえ。遺言書の書き方が民法に定める方式通りかという形式的なチェックが行われるだけで、遺言書の内容に関する質問・相談には一切応じてくれません。

Q5.法務局に遺言書の内容を知られずに保管だけしてもらうことはできますか?

A5.できません。無封の遺言書である必要があります。(ただし、内容のチェックをしてくれるわけではありません。Q4参照。)

Q6.手数料はいくらですか?

A6.遺言書1通につき3,900円です。収入印紙で納付します。収入印紙は法務局で購入することができます。

Q7.予約が必要ですか?

A7.必要です。法務局の専用ホームページ、もしくは電話、窓口で行います。

Q8.遺言書の他に用意する書類はありますか?

A8.以下の2点をご用意ください。

  • 顔写真付き身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
  • 住民票の写し(本籍・筆頭者の記載のあるもの)※作成後3か月以内のもの

顔写真付きであることが必須のため、マイナンバーの通知カードや健康保険証等は不可です。なお、戸籍謄本や不動産登記事項証明書等は不要です。

Q9.保管の手続きを代理人(家族・司法書士等)に任せることはできますか?

A9.できません。必ず遺言者本人が出頭しなければなりません。なお、保管を撤回するときも本人の出頭が必要です。

Q10.遺言を書き替えたい場合はどうすればいいですか?

A10.遺言書の保管の申請の撤回を行い、新たな遺言書の保管を改めて申請します。手数料も再度必要となります(撤回の手数料は無料です)。

Q11.遺言書保管制度を利用するメリットを教えてください。

A11.以下のメリットがあります。

①検認が不要

自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所における検認手続きが必要となり、時間も費用もかかります。この手続きを経なければ預貯金の解約も不動産の相続登記もできません。法務局に保管しておけば、この検認手続きが不要となります。

なお、公正証書遺言はもともと検認不要です

②紛失・偽造の恐れがない

遺言書の原本は法務局に保管されるため、紛失・偽造の恐れがありません。

なお、公正証書遺言も原本は公証役場に保管されるため、同様の恐れはありません。(Q3参照。)

③相続開始後に同時並行で手続きを進められる

相続人は遺言書の原本ではなく写し(遺言書情報証明書)の交付を受けて相続手続きをすることとなります。写しなので何通でも取得可能であり、複数の金融機関での預貯金払戻し手続きや相続登記の手続き等を同時並行で迅速に進めることができます。

なお、公正証書遺言も公証役場にて遺言書の謄本を何通でも取得可能です。

Q12.公正証書遺言と比べてメリット・デメリットを教えてください。

A12.それぞれに以下のメリットがあります。

遺言書保管制度のメリット

①相続人へ通知される

遺言者の死亡時に、あらかじめ指定した相続人等(3人まで)に法務局から遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。また、遺言者の死後、相続人の中の誰かが法務局において遺言書を閲覧したり交付を受けた場合は、その他の相続人全員に対して、遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。これにより、遺言書の存在を知られずに相続手続きが進んでしまうことを防止できます

②費用が安い

遺言書保管の手数料は、公証役場の手数料より安価です。

公正証書遺言のメリット

①手書きする必要がない

公正証書遺言は、公証人が文案を作成してくれるので、法的に無効な記述となるリスクが低いです。(法務局は遺言書の内容のチェックはしてくれません。Q4参照。)

②本人の出頭ができなくても作成可能

遺言書作成時、遺言者が公証役場へ行くことが難しい場合は、公証人に出張を依頼することも可能です。(Q9参照。)

③相続開始後に迅速に手続きを開始できる

法務局にて遺言書の写し(遺言書情報証明書)を取得するには、全ての相続関係を証明する戸籍一式を添付する必要があるため、これらの収集に時間がかかります

公正証書遺言は作成時に謄本が遺言者に交付されます。紛失等により公証役場にて改めて謄本を取得する場合も、遺言者(被相続人)と取得する人(相続人)の相続関係が証明できる戸籍だけで手続きが可能です。

④相続開始後に紛争となる可能性が低い

遺言書作成時に公証人が遺言者の意思能力を確認してくれるので、相続開始後に遺言の有効性をめぐって争いになるリスクが低いです。

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