複数の相手と任意後見契約を結ぶことはできるか?

Q&A

Q1.複数の相手と任意後見契約を結ぶことはできますか?

A1.できます。

複数の相手とそれぞれ別個の任意後見契約を締結する方法と、1個の任意後見契約の中で複数の任意後見人が代理権を共同行使するよう定める方法があります。

Q2.1個の契約とするか別個の契約とするかで何が違いますか?

A2.1個の契約とした場合、複数の任意後見人が代理権を共同行使します。

共同行使とは、複数の任意後見人が全員一致で権限を行使する(逆に、1人でも反対すれば権限を行使できない)ということです。

この場合、任意後見人のうち1人でも契約終了事由が生じると、契約そのものが終了してしまうので注意が必要です。例えば、任意後見人のうち1人が死亡した場合、他の任意後見人が生きていても任意後見契約が終了してしまいます。

任意後見人が本人よりも先に死亡するリスクに備えるには、別個の契約とする必要があります。別個の契約とした場合は、1つの契約が終了しても他の契約に影響はありません。

また、任意後見人はそれぞれの任意後見契約で定められた代理権を単独で行使することができます。

なお、形式的に1通の契約書で作成しても、共同行使でなくそれぞれ単独で代理権行使できる内容である場合は別個の契約とみなされます。公証人手数料も契約数に応じてかかります。

例えば、1通の契約書でAさんに財産管理の代理権を、Bさんに身上保護の代理権をそれぞれ与えるとした場合、別個の任意後見契約となります。

Q3.2つの任意後見契約を結んで1つを予備とすることはできますか?

A3.契約の中で予備である旨を定めることは可能です。

例えば、メインの契約が終了した(もしくは何らかの事情で継続が難しくなった)場合に任意後見をスタートするように定めておきます。

ただし、予備である旨を登記することはできません。登記事項証明書を見ても、メインとサブの区別はつかないということになります。

Q4.2つの任意後見をスタートさせる場合、任意後見監督人には同じ人が選任されますか?

A4.同じ人が選任されることもあり得ますし、別の人が選任されることもあり得ます。

事案ごとに家庭裁判所が判断します。

Q5.同じ人が複数の人の任意後見人になることはできますか?

A5.できます。

例えば、子が父と母両方の任意後見人になることは可能です。(なお、契約は父と母それぞれ別個に締結します。)

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