法定相続情報証明制度が始まりました

2017年5月29日から「法定相続情報証明制度」が始まりました。これは、収集した戸籍一式を法務局に提出して「法定相続情報一覧図」を発行してもらうことにより、以降の相続手続きでこの一覧図を戸籍一式の代わりに使うことができるというものです。

相続登記だけでなく、預貯金の払い戻し等の手続きでも戸籍一式を提示する必要があるので、戸籍の数が膨大な場合は書類のやりとりが楽になります。

国としては、相続登記がされないまま放置され、所有者不明の空き家が社会問題となっていること等を受け、相続登記を促進することが狙いのようです。しかし、一覧図の発行を受けるためには一度は戸籍一式を全て収集しなければなりません。結局それが一番大変なので、そこの手間が軽減されない限り相続登記の促進に繋がることはないように思えます。(2024年3月1日より戸籍の広域交付が開始され、一定程度収集の手間が軽減されました。)

ただし、預金の払い戻しに応じる金融機関としては、確認する書類が減るので手続きが早くなる可能性はあります。また、相続登記にせよ預貯金の払い戻しにせよ、戸籍一式を一旦預ける必要があり(戸籍一式は希望すれば返却してもらえます)、その間は他の手続きを進めることができませんでしたが、一覧図は必要な枚数を無料(司法書士等の専門家に依頼する場合の報酬は別)で発行してもらえるので、相続登記や複数の金融機関での払い戻し手続きを同時並行で進めることができます。

※法定相続情報一覧図の例(法務省のWebサイトより)