ここでは配偶者短期居住権について記載しています。
配偶者居住権についてはこちらをご参照ください。
- Q&A
- Q1.配偶者短期居住権とは何ですか?
- Q2.配偶者居住権との違いは何ですか?
- Q3.配偶者短期居住権が発生する要件を教えてください。
- Q4.相続放棄をしても配偶者短期居住権を取得できますか?
- Q5.建物の一部に居住していた場合、どの範囲で配偶者短期居住権が成立しますか?
- Q6.配偶者短期居住権の存続期間を教えてください。
- Q7.建物が父と長男の共有名義となっていた場合、父が死亡したときに母は配偶者短期居住権を取得できますか?
- Q8.固定資産税は誰が払うのですか?
- Q9.配偶者短期居住権はどのような場合に消滅しますか?
- Q10.配偶者短期居住権は登記できますか?
- Q11.遺産分割において、配偶者短期居住権は財産として評価されますか?
Q&A
Q1.配偶者短期居住権とは何ですか?
A1.建物所有者が亡くなった後、一定の期間に限って配偶者が賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。要するに、転居先を探す猶予期間です。
Q2.配偶者居住権との違いは何ですか?
A2.配偶者居住権は遺言や遺産分割により発生しますが、配偶者短期居住権はそれらがなくとも発生します。ただし、配偶者居住権が原則配偶者の終身存続するのに対し、配偶者短期居住権の存続期間はその名の通り短期となっています(Q6参照)。
Q3.配偶者短期居住権が発生する要件を教えてください。
A3.配偶者が相続開始時に建物に無償で居住していた場合に発生します。
Q4.相続放棄をしても配偶者短期居住権を取得できますか?
A4.できます。
Q5.建物の一部に居住していた場合、どの範囲で配偶者短期居住権が成立しますか?
A5.居住部分に限らず建物全体に成立します。ただし、居住部分であれそれ以外の部分であれ、賃料を払っていた場合は「無償」という要件を満たさないためその部分については配偶者短期居住権は成立せず、引き続き賃料を支払う必要があります。
Q6.配偶者短期居住権の存続期間を教えてください。
A6.存続期間は以下のいずれかです。
<建物について遺産分割協議をする場合>
遺産分割によって建物の所有者が確定した日まで(ただし、早期に遺産分割が成立してしまった場合は相続開始から6カ月を経過する日まで)
<建物について遺言等がある場合>
遺言等によって建物を取得した者が、配偶者短期居住権の消滅の申し入れをした時から6カ月を経過する日まで
Q7.建物が父と長男の共有名義となっていた場合、父が死亡したときに母は配偶者短期居住権を取得できますか?
A7.できます。
配偶者居住権とは異なり、被相続人(亡くなった方)が第三者と建物を共有していた場合であっても、配偶者短期居住権は発生します。
ただし、父が長男に利用料等を払っていた場合は、母も引き続き払う必要があります。
なお、父と母の共有名義だった場合にももちろん取得できます。
Q8.固定資産税は誰が払うのですか?
A8.配偶者が負担します。納税通知書は建物所有者宛に届くため、建物所有者が支払うこととなりますが、後で配偶者に請求できます。
通常の必要費は配偶者が負担することとなっており、他にも建物の維持保存に必要な修繕費や、(建物だけでなく)敷地の固定資産税も配偶者の負担となります。
なお、不慮の事由(天災等)による臨時の修繕費は、建物所有者の負担となります。
Q9.配偶者短期居住権はどのような場合に消滅しますか?
A9.以下の場合に消滅します。
- 存続期間の満了(Q6参照)
- 配偶者の死亡
- 配偶者と建物所有者との合意による消滅
- 配偶者による放棄
- 配偶者による建物所有権または配偶者居住権の取得
- 建物の滅失
- 建物所有者による消滅請求(※)
※建物を居住以外の用途(営業等)で使用したり、無断で第三者に賃貸したり、増改築をした場合等には、建物所有者は配偶者短期居住権の消滅請求をすることができます。
Q10.配偶者短期居住権は登記できますか?
A10.できません。
Q11.遺産分割において、配偶者短期居住権は財産として評価されますか?
A11.されません。
したがって、配偶者短期居住権を取得したからといって、その分配偶者が取得できる財産が減ることはありません。
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