住宅用家屋証明書は「自分が住むための家です」ということを証明するものです。これがあれば所有権移転や抵当権設定の登録免許税が減税されます。ただし、売買の場合のみであり、贈与の場合には適用されません。
証明書の発行を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。(条件は変更される可能性があるので、都度最新の情報をご確認ください。)
- 家屋取得後1年以内であること
- 床面積50㎡以上の自己の住宅用家屋であること
- 店舗、事務所との併用の住宅は、居宅部分が9割を超えること
- マンションの一室の場合は、建築基準法上の耐火(または準耐火)建築物または低層集合住宅であること
- 昭和57年1月1日以降に建築された家屋であること(昭和56年12月31日以前に建築された家屋については、耐震基準適合証明書等が必要となります)
証明書取得のため役所に提出する書類は以下の通りです。(役所により若干異なることがありますので、詳細は取得家屋の所在地を管轄する役所に問い合わせる必要があります。)
- 家屋の登記事項証明書
- 買主の住民票
- 売買契約書
住民票の住所が新住所(取得する家屋の住所)になっていない場合は、「申立書」と「現住家屋の処分方法を確認できる書類」も必要です。申立書は「まだ住所を移していないけど確実に住みます」ということを申し立てるものです。「現住家屋の処分方法を確認できる書類」は、現在の家が持ち家ならばそれを売却する予定であることを証明する売買契約書や媒介契約書、現在の家が賃貸ならば賃貸借契約書がそれに該当します。
そもそも住宅用家屋証明書は登録免許税の減税を受けるためのものなので登記申請前に取得する必要があり、その時点でまだ購入してもいない家に入居しているわけがないのですが、役所はこの現実にそぐわないルールに則り対応しています(申立書に「入居が登記の後になる理由」というトンチンカンな項目があります。)。実際には決済前に住民票上の住所だけ移すこともよく行われています。厳密にはまだ転居していないのに住民票を移すのは違法で、そうやって受けた減税は不正であり後で差分を課税されるリスクも理屈上は存在するので、それは行わないという仲介業者もいるようです。個人的には、追徴課税のリスクを認識した上で近日中に確実に入居するのならやってしまってもいいと思います。なお、新住所で登記すれば後日住所変更の登記を別途行う手間と費用が省けるので、この点でもメリットがあります。
前述の申立書には「入居予定日」を記載する欄もあり、申立日から2週間以内でなければ認めないという運用がされていますが、これも実情に合いません。中古住宅の売買ではリフォームを行うことが多く、入居がだいぶ後になることも往々にしてあるからです。役所の窓口は不動産売買の実情を理解していない人も多くマニュアル通りの対応をしてくるため、いちいちまともに相手にするのも馬鹿馬鹿しいので私は適当に1週間後くらいの日付を記入して提出しています(恐らく多くの司法書士がそのようにしていると思います。)。ご自身で住宅用家屋証明書を取得される際はご注意ください。