遺言の撤回

Q&A

Q1.遺言の撤回に決まった方式はありますか?

A1.遺言の撤回は、遺言の方式に従って行う必要があります

ただし、遺言の方式に従いきちんと撤回した場合の他に、撤回したとみなされる場合があるので要注意です。(Q4参照)

Q2.遺言の一部だけを撤回することはできますか?

A2.できます。

Q3.公正証書で作成した遺言を、自筆証書遺言で撤回することはできますか?

A3.できます。

反対に自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回することもできます。遺言書の作成方式は問いません

Q4.遺言を撤回したとみなされるのはどのような場合ですか?

A4.後の遺言により「前の遺言を撤回する」とハッキリ書いていなくても、以下の場合には遺言を撤回したとみなされます

  • 前の遺言が後の遺言と抵触する場合
  • 遺言の内容がその後の生前処分と抵触する場合
  • 遺言者が故意に遺言書を破棄した場合
  • 遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合

Q5.「前の遺言が後の遺言と抵触する場合」とは具体的にどのような場合ですか?

A5.前の遺言で「A不動産をXに相続させる」と書いた後に、後の遺言で「A不動産をYに相続させる」と書いたような場合です。

この場合、後の遺言により前の遺言は撤回したとみなされるため、YがA不動産を相続することとなります。

Q6.「遺言の内容がその後の生前処分と抵触する場合」とは具体的にどのような場合ですか?

A6.「A不動産をXに相続させる」という遺言を書いた後に、遺言者がA不動産を第三者に売却してしまったような場合です。

この場合、売却という行為により遺言を撤回したとみなされるので、XはA不動産を相続することはできません。売却代金を代わりに相続することもできません

Q7.「遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合」とは具体的にどのような場合ですか?

A7.「絵画をXに遺贈する」という遺言を書いた後に、遺言者がその絵画を捨ててしまったような場合です。

「貸金債権をXに遺贈する」という遺言を書いた後に、遺言者がその貸金債権を放棄したという場合も該当します。

Q8.遺言の撤回を撤回した場合、前の遺言の効力は復活しますか?

A8.原則として復活しません。改めて最初の遺言と同じ内容の遺言を作成する必要があります。

ただし、当初の遺言の復活を希望することが明らかな場合は復活します。また、1回目の撤回が錯誤・詐欺・強迫による場合も、2回目の撤回により当初の遺言が復活します。

Q9.遺言を撤回する権利を放棄することはできますか?

A9.できません。

「これが最後の遺言であり、撤回することはない」と書かれた遺言書が発見されても、それを撤回した別の遺言書が存在しないとは言い切れない、ということです。

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