相続登記は誰が申請できるか
1.法定相続割合による登記
法定相続人であれば誰でも単独で登記申請できます。
ただし、自分の相続分だけ一部移転する登記はできず、相続人全員に移転させる登記をしなければなりません。
この場合、申請した相続人にしか登記識別情報は発行されないので、後に売却等する際に手間と費用が余計にかかることがあり、トラブルになる可能性があります。やむを得ない事情がない限り、他の相続人に無断で法定相続割合による登記をすることはお勧めしません。
2.「不動産をAに相続させる」遺言がある場合
2-1.遺言執行者がいる場合
Aも遺言執行者も単独で登記申請できます。
従来、遺言執行者は登記申請できませんでしたが、相続法改正(令和元年7月1日施行)によりできるようになりました。
2-2.遺言執行者がいない場合
Aが単独で登記申請できます。
2-3.既に法定相続割合による登記がされている場合
Aと遺言執行者(いない場合は他の相続人全員)が共同で、Aの単独所有とする更正登記を申請します。
ただし、今後、Aが単独で登記申請できるようになる予定です(日程未定)。
3.「不動産をAに遺贈する」遺言がある場合
3-1.遺言執行者がいる場合
Aと遺言執行者が共同で登記申請します。
ただし、不動産登記法改正(令和5年4月1日施行)により、Aが相続人である場合(第三者ではない場合)にはA単独でも登記申請できるようになりました。
なお、包括遺贈(全財産をAに遺贈する)の場合も同様です。
3-2.遺言執行者がいない場合
Aと他の相続人全員が共同で登記申請します。
ただし、不動産登記法改正(令和5年4月1日施行)により、Aが相続人である場合(第三者ではない場合)にはA単独でも登記申請できるようになりました。
なお、包括遺贈(全財産をAに遺贈する)の場合も同様です。
3-3.既に法定相続割合による登記がされている場合
Aと遺言執行者(いない場合は他の相続人全員)が共同で、Aの単独所有とする更正登記を申請します。
ただし、今後、Aが相続人である場合(第三者ではない場合)は、A単独で登記申請できるようになる予定です(日程未定)。
4.遺産分割協議でAが相続することとなった場合
Aが単独で登記申請できます。
ただし、登記申請の際に提出する遺産分割協議書には法定相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付する必要があります。
<既に法定相続割合による登記がされている場合>
Aと他の相続人全員が共同で、他の相続人分をAに移転する登記を申請します。
ただし、今後、Aが単独で更正登記を申請できるようになる予定です(日程未定)。
5.家庭裁判所の調停(または審判)によりAが相続することとなった場合
調停調書(または審判書)によりAが単独で登記申請できます。
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